ほうれん草を無農薬・無化学肥料で育てるポイント

ほうれん草は調理方法も多く、食べても美味しいので人気の野菜です。
特に冬の寒さに当たったほうれん草は甘みが増して、とても美味しいです。

最近では、アクも少なくサラダで食べることができる品種もあります。

でも、実際に自分で育てるには少し難易度が高めの野菜になります。

そこで、無農薬でも美味しいほうれん草を育てるためのポイントをあげていきます。

ほうれん草を上手く育てることができたら農家として1人前!

私が農業を始めた時に先輩農家に言われた言葉が「ほうれん草が上手に出来たら1人前や!」と言われたのを覚えています。

確かに20年近く農業をしてきてみて、この言葉の意味がわかる気がします。
なぜならほうれん草は他の葉物野菜に比べて上手に作るのが難しいからです。

似たような野菜で、小松菜がありますが、難易度で言えばほうれん草の方が5倍ぐらい難しい感じがします。

その理由は次のようになります。

  • 1、暑さに弱い→夏場育てるのは非常に難しい
  • 2、酸性の土だと大きくならない→痩せてる畑の土は酸性のところが多い
  • 3、たねが硬いので発芽しにくい→たねをしっかり水につけて給水させないといけない
  • 4、加湿も乾燥にも弱い→水が多いと根っこが腐ってしまったり、乾燥すると大きくならない
  • 5、病気が多い→べと病など無農薬で育てると病気になって全滅する可能性がある

この様な弱点があるので、これを踏まえて育てるといいと思います。以下で私がやっている方法をお伝えします。

夏に育てないで、秋から育てる。どうしても夏場に育てるときは暑さに強い品種を選ぶ

ほうれん草の旬は秋から冬にかけてです。

特に冬のほうれん草は味もよく、育てやすいので初心者の人は特に秋からたねをまくことをお勧めします。

でも、どうしても1年中食べたい方は、暑さに強い品種を選んでください。ほうれん草の種は非常に沢山あって、市場のニーズに合わせて1年中栽培できる様に品種改良が非常に進んでいます。

また、少しでも温度を下げるために、銀色や白色の日よけをかけてあげると、地面の温度が下がるため、ほうれん草も育てやすくなります。注意点としては暗くしすぎると、ヒョロヒョロのほうれん草になってしまうので、うっすら日陰になる程度の日よけを使う様にしてください。

酸性の土地には堆肥を入れてあげる事

日本の土地の多くは何もしないと酸性になっていきます。でも、森の土は弱酸性ぐらいになっています。理由は落ち葉が積み重なって腐葉土になっている事で、土が中和されているためです。

そこで、畑でも上質の堆肥を使う事で土をよくしてあげることが大切です。

ほうれん草は酸性では育たないというより、痩せた土地では育たないという方が正しいのかもしれません。先輩が「ほうれん草が育つと一人前」と言うのは、ほうれん草が育つ土壌は、土地が肥えていると言うことを伝えたかったのだと思います。

よく、土壌を石灰でPH調整している方がいますが、土のミネラルバランスが整うとちょうど弱酸性になる様になっています。単に石灰だけ入れて育てると言うのはあまりお勧めできません。

それよりも最初に堆肥などを使って土壌をよくすることをお勧めします。

ほうれん草のたねを水に漬けるか、たねを割ってあるタネを買う

一般に売っているほうれん草の種は非常に硬い殻に覆われています。

タネが発芽するにはタネが水を吸収することによって化学変化を起こし、新しい根っこが殻を破って出てきます。

でもほうれん草の種の殻は硬いので、水を吸収し殻が柔らかくなるまで非常に時間がかかります。

そこで、タネを一昼夜水につけてからタネをまきます。

でも、私たちは沢山のタネを使うので、中々吸水させることができません。そこで、今はタネ屋さんが最初から殻を割りやすい様に加工したタネを販売しています。これを使うことで、直接畑にタネをまくことができるので、非常に便利です。

皆さんもプライマックス加工などと書いてあるタネを買うと簡単に種まきができますよ。

加湿・乾燥対策は小まめに水やりをすることが大切

ほうれん草は根っこが非常に深く地面に伸びていきます。ですので、あまりに水が多いと根っこの先が伸びにくくなったり、ひどい時は腐ってしまいます。

また、乾燥にも敏感で、成長途中で一度乾燥してしまうとその後に慌てて水をあげてもうまく育ちません。

小松菜などは少し乾燥しても、その後に水やりすると比較的簡単に復活するので、ほうれん草に比べると乾燥には鈍感な方だと思います。

私たちはほうれん草を育てる時は、種まき前に畑にしっかりと水を与えます。私の知り合いの農家さんは24時間水をあげたりします。

その後に種まきをして、長めに水をあげます。タネが発芽して双葉が出るまでは小まめに水を与え、乾燥しない様にします。

双葉が出た後は一旦水やりを抑えます。理由は、発芽した根っこを地面にしっかりと伸ばす為です。発芽してすぐの根っこはあっという間に20センチぐらいまで深く根を伸ばします。そこに水が多いと、酸素が少ない為根っこが伸びていかないからです。

ここでしっかりと根を地下深くまで伸ばすことができると、地下水を使ってほうれん草は育つことができるのでとても重要なポイントになります。

ここでしっかりと根を張れば、後は土の表面が乾いたら軽く水をあげることでほうれん草は育ってくれます。土の表面が乾かない程度に小まめに水をあげてください。

病気対策は過密を避けて、ゆったりと育ててあげること

ほうれん草は病気が多い野菜です。特にべと病という病気は無農薬栽培する際に悩まされる病気です。

べと病は、菌が葉っぱに付着するとそこから紫色に変色し、葉っぱを枯らしてしまいます。この病気は気温が20度ぐらいで加湿の時に特に発病しやすいです。

そこで、出来るだけ加湿にならない様にほうれん草の間隔を広げて風通しを良くしてあげることが大切になります。

それでも、病気が発生する時は病気に強い品種があります。そういう品種を使うことで病気の発生はかなり抑えることができます。

まとめ

ほうれん草は上手に育てると、とても美味しくいろんな料理に使えるので、重宝されます。

無農薬で育てるには、いい土で、風通しを良くした上で、品種を選んであげることでうまくいきます。

一人前の農家を目指して頑張りましょう。

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